畜生育成計画。

《日々の生活記録的ななにか》

20170805

今週のお題「ちょっとコワい話」

特にネタがなかったので書いてみます。
結構前の話になるんですが、僕が看護学生時代のころの話。
看護学校だから実習先の病院での怖い話かと思われそうですがそうではありません。

看護学校と言っても高校の延長線上みたいなところがあり、しっかり夏季休業という名の夏休みみたいなもんがあります。

大体一か月くらいかな。普通の小中学生とかとおんなじ感じです。
まぁグループによっては夏休み中に単位の関係上実習に行かなければならないグループとかもあるんですが、僕のグループは普通に休みでした。
学生ということもありバイトでもしないと遊びにすらいけません。
ましてや奨学金制度を知らなかった愚かな自分はバイトと母ちゃんからのお小遣いのみでやりくりしなければいけなかったもんだからもう大変。死活問題です。

そこで普段はコンビニでバイトしていたのですが、コンビニだけだと十分に稼げないので友達の紹介で市民プールの監視員のバイトを紹介されダブルワークすることにしました。
炎天下でのプールのバイトはいかにも夏!って感じがして体力的には日焼けもするし軽度の脱水にもなるけど楽しくワイワイ働くことができました。

プールでのバイトを始めて半月ほどたったころのことです。
僕の働いていた市民プールには遅番なるものがありました。

夕方から夜の9時ころにかけて屋内のプールで小学生たちの水泳教室が個人教室で行われその屋内監視、清掃に取り組むのが遅番業務でした。

大体責任者も含め3~4人で業務を回すことが多いのですが、その日は急遽メンバーの欠員があって3人で遅番を回さなければならないことに。

夕方になって昼間のスタッフさんとあいさつを交わしながら着替えて屋内屋外の清掃に向かう。

昼間のスタッフの女子高生がなにやら甲高い声で話しているようだ。
「〇〇〇さん聞きましたか!?お化け出たっていう話。

『え、ほんと!?どんなのでたの?』

若い女の子の言うことだからけっこうショボいことでも大袈裟に脚色されてるかもしんないな・・・と思いつつ内容を聞いてみた。

「プール開園の時に開業のお知らせラジオみたいなの流すじゃないですかー。

それがいつもセットしてあるカセットテープのままなのに全然聞いたこともないような歌が流れたんですよ!!

想像してたより結構ガチな心霊現象(?)を打ち明けられる。
・・・しかもそれだけではないらしい。

受付窓口付近でここの市民プールは小さいアイスような駄菓子を売っているのだが、
もらったお金の総額と減ったアイスの数が明らかに違うというのだ。

 

いままでこんなことはなかったのに。

 

変な不安に駆られつつ屋内プールのほうに向かう。

前方から先輩スタッフが小走りでこちらに駆け寄ってきた。

なんとなく嫌な予感というものは的中するものだ・・・。

「あれ?こっちに小さい女の子走ってこなかったか?」

一緒の遅番の男友達と一緒に薄暗い通路を歩いてきたが誰ともすれ違ってはいない。

『いえ・・・誰も来ませんでしたけど。』

「おかしいな~・・・、水泳キャップかぶらずにこっちに走っていくの見かけたから追ってきたんだけど。」

『・・・・・。』

なんとなく先程のラジオと駄菓子の件もあるので得体のしれない寒気が走る。
「なんかやな感じだな・・・。」

男友達も同じことを考えていたようである。
気を紛らわすように雑談をかわしつつ屋内屋外プールの清掃に向かい、無事清掃も終わらせた。

昼間のスタッフがタイムカードを押して帰っていく。

真夏のはずだが今日はやけに暗くなるのが早い。

正確には暗くなるというより夕焼けの時間が嫌に長く感じる。

なにかとからかい癖のある先輩が「今日多分なんか出るぞ。」と小ばかにしたようなあながち洒落にならない冗談を言いつつ帰っていった。

屋外と屋内のプールの仕切りとなっているガラスの窓を閉めると、クーラーの効いていない屋内プールにむわっとした蒸し暑さが漂っていった。

まとわりつくような湿気と塩素のこもった匂いが充満している・・・。

 

 

屋内プールには監視役が2役ある。

 

 

こどもたちが危険な飛込などをしないように監視する高台のぼりと、
飛び込んだりおぼれかけている子がいたら駆け付けられるようにプールサイドを歩いて監視する見回り番がある。

 

責任者役は屋内プールから離れた受付にいて途中退場者などの応対を行う。
実質屋内プールには高台のぼりと見回り番しかいないということになる。
あとは水泳教室に来ている生徒十数名くらいだ。

前半1時間30分と後半1時間30分で交代して勤務終了となる。
僕は前半見回り番でプールサイドを練り歩く。
なんだか色々怪奇現象を聞かされていたせいかいろんなことが怪奇現象に感じてしまってしょうがない。

いつもは気にせず歩くプールサイドだが、今日はなんだか・・・大げさかもしれないがゴムタイルの床という感じではなく濡れた人間の肌の上を歩いてるような気味の悪さが足の裏から伝わってくるような・・・そんな気がした。

前半はそんな奇妙な気分になりながらも無事に終わった。
高台のぼりの友達のとこに向かいホイッスルを預かる。
『なんか・・・床が変な感触な気がする。』
「気のせいだろ・・・。ふぁ~、ただ座ってるだけだから眠くて眠くて。」

監視員としてそれどうなのと指摘されそうだが、屋内は水泳教室の先生のと生徒のバタ足音が聞こえるだけで基本静寂に包まれている。
BGM的なものも流れていないし、飛込などがあれば音の違いでほぼ確実にわかるのである。

そんな時はこのホイッスルを鳴らし飛び込んだ人を指さす。
飛び込んだのはあなたですね。危ないのでやめてください。の意思表示をするのである。

大体は音の方向を見ると反省の色を見せない小学生のがきんちょがこちらを見ているのでホイッスルで厳しく指摘する。

それでもやめない子は3回目に退場を言い渡す。
飛び込んだ先にほかの人がいると事故につながるからだ。

高台のぼりに代わって半分ほど時間が過ぎた・・・。
見回り番の友達が数週回って気づいたらしい。

「言ってたこと分かったわ、なんか知らんが床が気持ち悪い。」

原因は不明だがいつにもまして水はけが悪いのだ・・・。しかも日中の熱を蓄えているためか微妙にぬるい。
『だろ?まぁもう少しで終わりだし辛抱しようぜ。早く帰りてー。』

気が付けばあと40分ほどで終了だ。
もう少しで終わりということで少し気が緩んでいた。
よそ見をしていると飛び込みの音が聞こえたのだ。

 

 

しかし僕はホイッスルを鳴らせない。

 

正確にいうとホイッスルをだれに鳴らしていいか分からない。

 

飛び込みの音がした位置からは確かに水しぶきが上がっていた。
しかしそれはあり得ないことなのだ。

 

水しぶきが上がった位置は25mプールのど真ん中の排水溝の真上。

 

 

子供はおろか大人ですら飛び込みで容易に届く位置ではない。

 

 

助走をつけたらあるいは可能なのかもしれないが・・・、

瞬時に鳥肌が立つ。

 

 

水しぶきが上がった位置には誰もいなかった。

 

そして水泳教室の生徒たちはプールサイドで体育座りになりながら先生の話を聞いてる最中なのだ・・・・。

 

その場にいる誰もが声を発せずにいた。
見回り番をしている友達も思考停止して立ち止まっている。

 

 

友達曰く何も飛び込んでいないのに急に水しぶきが上がったとのことなのだ。

 

後に聞いた話によるとこの日は過去に幼い女の子が排水溝に髪の毛を巻き込まれ溺死した日だったとか聞いたが、・・・昔から働いているわけじゃないので定かではない。
あの水しぶきの原因もいまだに分からないままである。

夜トイレに行けなくなるので深くは考えないようにしている。